はじめに

このページでは、一人親方である結真さん(仮名)が、会社の代表取締役として安定的に公共事業を受注できるようになり、地域一番の建設会社になるまでのストーリーをご紹介しています。※このサクセスストーリーはフィクションですが、皆様の疑問や不安の解決の一助になれば幸いです。

プライベートでもライフステージがあるように、仕事人生でもそれぞれのステージがあります。そしてそのステージごとに必要な要素は異なります。

内装職人10年の経験をもつ結真さんをモデルにして、ご紹介致します。

今回は、①独立編です!

独立する前に考えていただきたいこと

結真(ゆうま)さんの経歴

  • 父親は建築士。休日に父親が設計した現場に連れて行ってもらった時、父親のカッコいい設計図よりも、テキパキと内装を作っていく職人さんに夢中になった。父親の設計図そっちのけで、職人さんの手先ばかり目で追っていた。
  • 高校卒業後は、迷うことなく隣町のハル内装株式会社に就職。
  • 気が付けば、内装工事一筋で10年の月日が経っていた。会社内でも中堅になり、現場の管理も任されるようになっていた。その間に結婚もし、子宝にも恵まれた
  • 社長や先輩の人柄もとてもよく、仕事も楽しいが、会社のやり方に疑問がないわけではなかった。「自分だったら、もっとうまくやれるのに!」「ここをこうすれば、お客様はもっと喜ぶのに!」と思うこともしばしばあった。
  • そんな中、東京に引っ越した幼馴染の弥壱(やいち)が建設会社を作ったと聞いて、なんとなく将来を考えるようになった。

結真さんのような経歴の方は、全国にたくさんいるのではないでしょうか?職人として10年の経験を積むと、自分の腕に自信もあるため、独立を考える方も多くなってきます。この段階で必要なことは、知識ではありません。人生観やビジョンです。

奥様やお子様がいる状況で、本当に独立すべきなのか?リスクを冒して独立した後に、どんな未来を目指すのか?どんな仕事がしたいのか?

当事務所では、独立を目指す職人様からのお問い合わせは多くいただいております。しかし上記の話をすると、独立を思いとどまる方も多くいます。当事務所では。無理に会社設立や建設業許可の取得を勧めることはありません。10年以内に90%の会社がつぶれる時代です。会社が厳しい時に、一番大事なことは、ゆるぎない思いだと思っています。お客様の夢をサポートするためにも、最初の段階でしっかりと、ご自分と向き合って頂きたいと考えております。

ご相談だけでも喜んでお受けいたしますので、ご安心ください。

退職します!

結真さん

退職する際に何か注意点はありますか?

ハル行政書士
事務所

今は、いろいろな退職の仕方があります。退職時に間に入る業者さえ出てきています。

しかし一番大事なことは、自分の口で会社にこれまでの感謝を伝え、円満に退社することです!

当たり前のように感じるかもしれませんが、建設業界で独立する場合、その他の業種よりも、円満退社か否かの違いは大きいのです。

退職時の注意点

円満な退職したことで、良好な関係を維持できていることのメリットは以下の通りです。

  • 退職後、仕事を紹介してもらえる可能性がある
    退職後は、まず仕事を受注するところから始まります。どれだけ優れた技術や現場管理能力を持っていても、仕事を受注できなけば意味がありません。
    これまで勤めていた会社は、お客様の実力をよく知っています。人手が足りない時に仕事を振ってくれる可能性も大きいです。
    信用して仕事を振ってくれた仕事を、きちんとこなすことで実績を積んでいくことができます。
  • 業界内の横のつながり
    ご存じの通り、業界内は横のつながりが強いです。悪い噂はすぐに広がってしまうものです。
    独立直後は対外的な実績がありませんので、業界内に良好なネットワークがあることは、大きな強みになります。
  • 建設業許可を取得する際に、スムーズに実務経験の証明をしてもらえる
    今後、建設業許可を取得しようと思った時に、必要な資格がない場合は、10年間の実務経験を証明する必要があります。その証明書には証明者(退職する会社)の押印が必要になります。相談にくるお客様の中には、退職時にケンカ別れなどで関係が悪化した結果、証明をお願いできないケースも散見します。これは本当にもったいないです。経験があるのに、経験を証明できない。ビジネスチャンスを逃しかねません!

実際は、会社が本当に嫌で顔も見たくないと思っている方もいるかもしれません。しかし、これからは独立して全てを自分で運営していく必要があります。ご家族がいれば、経済的にも稼いでいかなければいけません。一時の感情に流されず、退職届を出す前に、しっかりと今後をお考え下さい。

結真(ゆうま)さんの退職

  • 先輩や社長に退職の意思を伝え、強い引き止めにあったものの、独立を決心。
  • すぐに退職するわけではなく、退職日を半年後に設定。その間にすることも決めました。
    ① 会社に迷惑が掛からないように、後輩の滝藤を計画的に育てる。
    ② 独立の準備をする
  • 後輩の教育はこれまでもやっていたが、後輩がミスした時に教えたりする程度だった。つまり、ポイントごとの教育であり、体系的な教育をしていなかった。しかし、自分が抜けるため現場管理までしっかりできる人材をしっかり育てる必要があった。技術的なノウハウに加え、現場を管理する上での体系的な方法も教育した。加えて、現場を円滑に進めていくために、先輩と後輩の滝藤と3人で、外注さんや取引先へのあいさつ回りも行った。これらの
  • 経験は独立後の人材教育を考える面でも多いに役に立ったのである。
  • 後輩も何とか、結真さんの代わりに現場の管理ができるようになった。
  • 半年後、円満に退職することができた。

さあ、独立だ!

結真さん

独立しよう!と決めたはいいけど、何をすればいいんですか?

ハル行政書士
事務所

独立には、①個人事業主として独立する方法と、②会社を設立(法人設立)して独立する方法があります。

結真さん

①と②の違いがわかりません。。。私の場合はどっちの方がいいですか?

ハル行政書士
事務所

結真さんの場合、モチベーションや目標がはっきりしているので、成功する可能性は高いと思います。
しかし、人生どのようなことがわかりません。リスクを最小限にするためにも、まずは撤退しやすい個人事業主での独立をご提案しています

独立する際の注意点

独立の二つの形態

お客様の状況(独立にかける思い、経験、資産状況、お持ちのネットワークなど)によって大きく変わりますが、ハル行政書士事務所では、まずは個人事業主としての独立をご提案することが多いです。

理由は、きちんと逃げ道をつくるためです。

結真さんの場合、モチベーションや目標がはっきりしているので、成功する可能性は高いと思います。
しかし、人生どのようなことがわかりません。

リスクを最小限にするのためにも、撤退しやすい個人事業主での独立をご提案しています。

実績を積んで、ある程度の所得(目安:1,000万)になった場合に、会社設立をおすすめしています。

個人事業主と法人の違い

個人事業主と法人ではの大きな違いは、

  • 対外的信用
  • 事業開始時の手続き
  • ランニングコスト
  • 事業廃止の手続き
対外的信用
項目個人事業主法人
対外的な信頼度法人に比べて、一般的に低い高い
上記の補足事業を行う上での資料はない新規顧客開拓や融資に有利
事業開始時
項目個人事業主法人
必要な手続き①開業届の提出
②青色申告承認申請書
①資本金の準備
②法人登記(定款認証から法務局での登記)
③法人口座の準備

主な違い

全ての作業をご自分で行った場合の費用

個人事業主:0円ですみます。

法人:仮に株式会社を設立する場合、全てご自分で申請する場合でも法定費用(国に払う手数料)約25万円かかります。

ランニングコスト
項目個人事業主法人
認められる経費①事業にかかる費用①事業に係る費用
②自分の給与(役員報酬)や退職金
税金所得税、個人住民税、消費税、個人事業税など法人税、法人住民税、消費税、法人事業税など
赤字の繰越3年10年
社会保険5人未満の場合、加入義務なし原則的に加入義務あり
事業廃止の手続き
項目個人事業主法人
必要な手続き廃業届の提出解散登記等

違い

設立時と同様に、法人の場合は様々な手続きが必要です。もちろんそれに伴って国払う手数料や業者に払う手数料も発生します。

個人事業主と法人との違い

これまで見てきた通り、会社設立をした場合の方が圧倒的に費用がかかることがわかります。

この比較をみて、「独立前から後ろ向きの考えでどうする!」「会社設立して創業融資だ!」という同業者(会社設立サポートを行っている組織)も多いかもしれません。

しかし、人生何があるかわかりません。いい方に転ぶなら、すぐにでも会社設立すればいいのです。悪い方に転ぶ可能性もあるのなら、リスクを押さえて目標に向かうべきではないかと考えています。

個人事業主から会社設立へのステップ
! 会社設立
↑ 実績を積んで、所得1,000万円を達成
↑ 個人事業主として事業開始
↑ 円満退職

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