特定技能ビザが創設された目的

まずは、こちらのグラフをご覧ください。

日本の労働人口

高齢化率

グラフの通り、2040年までに労働人口の減少と高齢化率の上昇が予測されています。単純計算で、労働人口が3割減少するのに対して、高齢者率は2倍になる計算です。現在、政治や自治体でも子育て支援の充実を図っていますが、とても間に合いません。

この労働力不足を補うために、国が新たに創設したのが特定技能ビザです。

特定技能外国人材の受入に関しては、以下のような調査結果がでています。

出典:日本・東京商工会議所「外国人材の受入れニーズに関する調査」

今後は、人手不足の分野や企業は以下に二分されていくことも考えられます。

  • 人手不足 → ニーズにあったサービスが提供できないまま、廃業に追い込まれる。
  • 人手不足 → 外国人材を受入を行い、サービスを深化させて、活路を見出す。

特定技能人材が活躍できる分野

人材確保が困難な分野として、以下の14の特定産業分野に限定されています。

産業分野従事できる業務
介護・身体介護等(利用者の心身の状況に応じた入浴,食事,排せつの介助等)のほか,これに付随する支援業務(レクリエーションの実施,機能訓練の補助等)
(注)訪問系サービスは対象外
ビルクリーニング・建築物内部の清掃
素形材産業・鋳造・鍛造・ダイカスト・機械加工・金属プレス加工・工場板金・めっき・アルミニウム陽極酸化処理・仕上げ・機械加工・金属プレス加工・工場板金・めっき・仕上げ・機械保全・電子機器組立て・電気機器組立て・プリント配線板製造・プラスチック成形・塗装・溶接・工業包装・機械検査・機械保全・塗装・溶接
産業機械製造業・鋳造・鍛造・ダイカスト・機械加工・塗装・鉄工・電子機器組立て・電気機器組立て・プリント配線板製造・プラスチック成形・金属プレス加工・溶接・工場板金・めっき・仕上げ・機械検査・機械保全・工業包装
電気・電子情報関連産業・機械加工・金属プレス加工・工場板金・めっき・仕上げ・機械保全・電子機器組立て・電気機器組立て・プリント配線板製造・プラスチック成形・塗装・溶接・工業包装
建設・型枠施工・左官・コンクリート圧送・トンネル推進工・建設機械施工・土工・屋根ふき・電気通信・鉄筋施工・鉄筋継手・内装仕上げ/表装・とび・建築大工・配管・建築板金・保温保冷・吹付ウレタン断熱・海洋土木工
→ 19業務は、統合されて現在は「土木」「建築」「ライフライン・設備」に区分されています。
造船・舶用工業・溶接・塗装・鉄工・仕上げ・機械加工・電気機器組立て
自動車整備・自動車の日常点検整備,定期点検整備,分解整備
航空・空港グランドハンドリング(地上走行支援業務,手荷物・貨物取扱業務等)・航空機整備(機体,装備品等の整備業務等)
宿泊・フロント,企画・広報,接客,レストランサービス等の宿泊サービスの提供
農業・耕種農業全般(栽培管理,農産物の集出荷・選別等)・畜産農業全般(飼養管理,畜産物の集出荷・選別等)
漁業・漁業(漁具の製作・補修,水産動植物の探索,漁具・漁労機械の操作,水産動植物の採捕,漁獲物の処理・保蔵,安全衛生の確保等)・養殖業(養殖資材の製作・補修・管理,養殖水産動植物の育成管理・収獲(穫)・処理,安全衛生の確保等)
飲食料品製造業・飲食料品製造業全般(飲食料品(酒類を除く)の製造・加工,安全衛生)
外食業・外食業全般(飲食物調理,接客,店舗管理)

特定産業分野別割合

出典:出入国在留管理庁 特定技能1号在留外国人数 (令和3年12月末現在) 概要版

飲食料品製造業がもっとも多い結果となっています。この業種はある程度大きな規模の会社が多いと考えられます。つまり、新しい制度であっても外部の専門家や自社でも対応可能な人材が多くいるため、対応スピードも速いことが予測されます。

一方で小規模な企業が多い【建設】や【介護】は導入が遅れています。

国籍・地域別割合

出典:出入国在留管理庁 特定技能1号在留外国人数 (令和3年12月末現在) 概要版

現状では、ベトナムが圧倒的に多くなっています。しかし、この割合は都道府県ごとに大きく変動しますので、参考程度にご覧ください。

特定技能ビザには、【1号】と【2号】があります

これまでの在留資格の位置づけ【技能レベルでの比較】

「専門的・技術的」レベルが高い・高度専門職(1号、2号)
・教授
・技術・人文知識・国際業務
・介護
・技能 など
「専門的・技術的」レベルが高くない・技能実習

特定技能ビザを含んだの位置づけ【技能レベルでの比較】

「専門的・技術的」レベルが高い・高度専門職(1号、2号)
・教授
・技術・人文知識・国際業務
・介護
・技能 など
特定技能2号
「専門的・技術的」レベルが中程度特定技能1号
「専門的・技術的」レベルが高くない・技能実習

特定技能1号と特定技能2号の比較

特定技能1号特定技能2号
分野・介護
・ビルクリーニング
・素形材産業
・産業機械製造業
・電気・電子情報関連産業
・建設
・造船・舶用工業
・自動車整備
・航空
・宿泊
・農業
・漁業
・飲食料品製造業
・外食業
・建設
・造船・舶用工業
※2022年4月時点
年齢要件18歳以上(日本上陸時点)18歳以上(日本上陸時点)
学歴要件不要不要
在留期間通算で5年(1年・6ヶ月・4ヶ月ごとの更新)上限なし(3年・1年・6ヶ月ごとの更新)
技能レベル相当程度の知識 または 経験が必要(試験等で確認)
※技能実習2号を終了した外国人等は試験免除
熟練した技能が必要(試験等で確認)
日本語レベル生活や業務に支障がない程度の日本語能力(試験等で確認)生活や業務に支障がない程度の日本語能力(試験等はなし)
外国人に対する支援受入企業 または 登録支援機関による支援が 必要受入企業 または 登録支援機関による支援は 不要
家族の帯同基本的に不可要件を満たせば可能(配偶者・子)
転職同一業務区分内であれば、転職可能同一業務区分内であれば、転職可能

これから特定技能人材を受け入れたい!と考えている企業にとって、上表の「受入企業 または 登録支援機関による支援が 必要」が一番不安になる部分ではないでしょうか?次に特定技能1号ビザの外国人材に対して必要な支援です。

特定技能1号ビザの外国人材に対する支援

受入企業には、以下の10項目の支援が義務付けられています。

  • 事前ガイダンス
  • 出入国する際の送迎
  • 住居確保・生活に必要な契約支援
  • 生活オリエンテーション
  • 公的手続き等への同行
  • 日本語学習の機会の提供
  • 相談・苦情への対応
  • 日本人との交流促進
  • 転職支援(人員整理等の場合)
  • 定期的な面談・行政機関への通報

いかがでしょうか?想像よりもやることが多いのでしょうか?

ご安心ください。全てを受入企業でやる必要はありません。一部 または 全てを登録支援機関に委託することができます。すでに技能実習制度(外部委託)を利用している場合は、監理団体のような位置づけになります。

では、ここまでして【特定技能1号ビザ】の外国人材を雇用する意味があるのでしょうか?

また、【技能実習ビザ】とは何が違うのでしょうか?

特定技能ビザと技能実習ビザの違い

一番の大きな違いは、就業時点で即戦力となるか否かです。(在留資格の存在する目的が大きく異なります。)

特定技能ビザでは、相当程度の知識や経験・日本語能力が担保されています。そのため、人事不足を解消となる即戦力として期待されています。

特定技能ビザを活用する4つメリット

  • 人材不足の解消ができる
  • フルタイムで雇用できる
  • 日本語でのコミュニケーションができる
  • 技能実習から雇用を継続できる

特定技能1号ビザの外国人材を採用するまでの流れ

日本国内に在留している外国人を採用する場合

試験に合格 または 技能実習2号を終了
特定技能雇用契約の締結
1号特定技能外国人支援計画を策定
在留資格変更許可の申請
在留資格の変更
就労開始

特定技能1号ビザの場合は、就労開始後も継続して報告が必要になります。

3カ月に1回提出が必要なもの

  • 特定技能外国人の受入れ状況に関する届出
  • 支援計画の実施状況に関する届出
  • 特定技能外国人の活動状況に関する届出 (報酬の支払状況や離職者数、行方不明者数など)※2号も場合も提出が必要

随時提出が必要な

  • 特定技能雇用契約の変更、終了、新たな契約の締結に関する届出
  • 支援計画の変更に関する届出
  • 登録支援機関との支援委託契約の締結、変更、終了に関する届出
  • 特定技能外国人の受入れ困難時の届出
  • 出入国または労働関係法令に関する不正行為等を知ったときの届出

これで、晴れて特定技能外国人材が就労可能になります。しかし、一方で職場になじめずに辞めてしまうことがあるのも確かです。

【技能実習ビザ】とは異なり、転職が可能であるためです。

では次に、外国人材が活躍できない職場の特徴をお伝えします。つまり、本気で外国人材を受け入れようとする場合は、次のような職場環境になっていないか、再度見直しをすることを強くお勧めいたします。

外国人材が活躍できない職場の特徴

  • 職場の居心地が悪い
  • 上司のマネジメント方法が今までと同じ
  • 仕事にやりがいを感じない

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